「幻坂」ほんま本大賞受賞
単行本のカバーに惹かれて買った「幻坂」が、この夏、大阪ほんま本大賞を受賞。
おめでとうございました。愛読者として感慨。
しかし既に文庫も発売されており、受賞の際に紀伊国屋の入り口に積まれたのは装幀の変わった文庫だったのは、自分としてはちょっと残念だった。
「幻坂」は天王寺七坂がテーマの短編集だが、七つの坂のうちで私が最も好きな源聖寺坂の絵が単行本の表紙になっていたのだ。はじめて本屋で目にしたときにすぐ、あ、源聖寺坂、とわかり即購入。小説の新刊を店頭ですぐに買うのはここ数年ではかなり珍しい行動だった。
これが源聖寺坂。
この、坂のさらに上方に曲がりくねるところがあり、「幻坂」単行本のカバー絵は、
そこのところの風情ある描写となっている。
それじゃ、なんでその風情ある部分の写真をここに載せないのか?
現地現状を知っている人ならわかるのだが、そこは今では残念ながら風情がなくなってしまって、あまりフォトジェニックではないからだ。
単行本カバーは絵なので、坂下の向こうに海に沈む夕日が見えるという、これも今では失われた風景が実現しているけれど。
それでもこの写真のように源聖寺坂は今もなかなか美しい。この本の中の一篇「源聖寺坂」という物語の登場人物も、大阪で一番好きだと言っていて、私と同意だ。
文庫のほうの絵は、右のほうが口縄坂?